むし歯
むし歯

むし歯(正式には「う蝕(うしょく)」と呼ばれます)は、年齢や性別に関係なく誰にでも起こり得る口腔内の疾患です。近年では、生活習慣や食生活の変化により、大人になってからむし歯に悩まされる方も少なくありません。また、初期段階では自覚症状が少ないため、気が付いたときには進行してしまっているケースもあります。
このページでは、むし歯の原因から症状、治療法、そしてむし歯を予防するためにできることまで、幅広くわかりやすくご紹介します。
むし歯とは、歯の表面を覆っている「エナメル質」やその内側の「象牙質」が、細菌の出す酸によって溶かされ“歯に穴が開いてしまう病気”です。口の中には数百種類の細菌が存在していますが、特に「ミュータンス菌」という細菌がむし歯の主な原因菌とされています。
このミュータンス菌は、私たちが食事で摂取する糖分をエサにして酸を作り出します。この酸が歯を溶かし、やがてむし歯となるのです。
むし歯の発生には、以下の4つの要素が関係しています。
口腔内に常在する細菌が糖を分解して酸を作り出します。
食事や間食などで摂取する糖分が、細菌の栄養源になります。
歯の質や唾液の分泌量・質などには個人差があり、むし歯になりやすい人となりにくい人がいます。
上記の要素が一定の時間作用すると、むし歯が発生・進行していきます。
これらの要素が重なり合い、口腔内の環境が悪化すると、むし歯ができやすくなります。
むし歯は進行度によってC0〜C4の5段階に分類されます。
C0(初期う蝕)
見た目では歯の表面が白く濁って見えることがありますが、痛みなどの自覚症状はほとんどありません。再石灰化により元に戻る可能性があります。
C1(エナメル質う蝕)
歯の表面(エナメル質)が溶け始め、小さな黒い点や穴が見られます。痛みはほとんどありませんが、冷たいものがしみることがあります。
C2(象牙質う蝕)
エナメル質の下の象牙質まで進行した状態で、冷たいものや甘いものにしみるようになります。
象牙質はエナメル質よりもむし歯で溶けやすいので、ここからむし歯の進行が加速します。
C3(神経まで進行)
むし歯が歯の神経(歯髄)にまで達した状態です。強い痛みや炎症が起き、日常生活に支障をきたすこともあります。
神経を除去する根管治療が必要になる場合があります。
C4(歯冠崩壊)
歯のほとんどが崩れてしまい、根だけが残った状態です。痛みが一時的に収まることがありますが、根の先に膿がたまったり、再び激しい痛みが出たりすることがあります。
ここまでむし歯が進行すると抜歯が必要になることも少なくありません。
むし歯が進行すると、「歯の着色や黒ずみ」「冷たいものがしみる」「歯がズキズキして痛い」など、さまざまな症状が現れます。むし歯は進行するとなぜ痛くなるのかについて解説していきます。
歯の表面にあるエナメル質の内側には、象牙質(ぞうげしつ)があります。
象牙質には神経(歯髄)につながる細い管=象牙細管がたくさんあり、ここが露出すると冷たいものや甘いものがしみるようになります。
これはC2レベルのむし歯でよく見られる「一時的な痛み」です。
むし歯が進行して歯髄(神経)に細菌が感染すると、炎症(歯髄炎)が起こります。
この状態では、ズキズキする強い痛み、夜眠れないほどの痛みが出ることがあります。
特に温かい物で歯がしみたり痛む場合は、炎症が進行しているサインです。
神経が完全に壊死すると、一時的に痛みがなくなることがあります(C3~C4レベル)。
しかし、歯の根の先に膿(うみ)がたまり、根尖性歯周炎になると再び、噛むと痛い・腫れて痛い・叩くと痛いという症状が出ます。
むし歯による痛みは、「治りかけ」ではなく進行のサインです。
市販の鎮痛剤で一時的に痛みを和らげることはできますが、むし歯の原因そのものを治療しない限り、症状は悪化する一方です。
とくに「急に痛みが引いたから治ったかも」と思って放置すると、歯の神経が死んでしまい、膿や腫れが生じる、最悪の場合は抜歯が必要になることもあります。
歯の痛みを感じたら、痛み止めでごまかさず、早めに歯科医院でむし歯治療を受けることが大切です。
むし歯の治療法は、進行度によって異なります。
フッ素塗布やブラッシング指導により再石灰化を促し、削らずに様子を見ることがあります。
むし歯の部分を削って、レジン(白い詰め物)やインレー(詰め物)で補います。
神経の治療(根管治療)が必要です。その後、クラウン(被せ物)で補うケースが一般的です。
抜歯を行い、その後ブリッジ、入れ歯、インプラントなどの方法で補綴治療を行います。
早期発見・早期治療が非常に重要ですので、定期検診を受けることで進行を防ぎましょう。
ほとんどのケースで抜歯が必要となります。抜歯後は、ブリッジや入れ歯、インプラントなどで歯の機能回復を図ります。
ブリッジは、失ってしまった部分の歯を補うために、その両隣の歯を土台にして、連続した被せ物を装着する治療です。
比較的短期間での作製が可能ですが、硬い食べものや、粘り気のある食べ物では、しっかり噛むことができず違和感が生じることがあります。慣れるまでの時間が必要です。
ご自分の歯と同じように噛むことができますが、インプラントを埋め込む外科手術が必要となるため、内科疾患や重度の歯周病がある方は適応外になることがあります。
むし歯を削る際、最小限の切削にとどめる、歯の保存を第一に治療方針を検討します。
肉眼では見えない細かなむし歯も見逃さず、治療の精度を高め、再発リスクを低減します。
表面麻酔や細い針の使用で痛みの少ない麻酔を実施。可能な限り「怖くない」「痛くない」を大切にします。
もし根管治療が必要になった場合でも、Ni-Tiファイル、歯科用CTなどを使用する事により高精度の根管治療を行います。
治療内容や費用、選択肢を丁寧に説明し、納得のうえで治療を進めていきます。
予約優先制で、患者の時間的負担を軽減します。忙しい方でも通いやすい診療体制を整えています。
治療後も継続的なケア(定期検診、PMTC、フッ素塗布など)を推奨します。
必要に応じて生活習慣指導やセルフケアのアドバイスも行います。
コンポジットレジンやセラミックを使った自然な見た目の修復も可能です。(保険適応外の場合あり)
金属アレルギー対策としても人気です。
治療を受けるにあたり患者様の希望や優先事項、予算に応じて最適な治療法を選択可能です。
むし歯の予防は、日々の生活習慣の中で実践できます。以下のポイントを意識してみましょう。
正しい歯磨き
毎食後、特に寝る前のブラッシングはとても重要です。歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシも活用しましょう。
フッ素の活用
フッ素入りの歯磨き粉や、歯科医院でのフッ素塗布は、歯の再石灰化を促進し、むし歯予防に効果的です。
食生活の見直し
間食や糖分の摂取を控えることで、むし歯のリスクを減らせます。特に「ダラダラ食べ」は避けましょう。
定期検診
むし歯は早期に発見すれば、痛みも少なく、治療も簡単です。最低でも半年に一度の定期検診をおすすめします。
唾液の働きを活かす
唾液は天然の防御機能を持ち、口腔内の汚れを洗い流す働きがあります。よく噛むことで唾液の分泌を促すことができます。
乳歯のむし歯は「いずれ生え変わるから」と軽視されがちですが、実際には永久歯の健康や歯並びにも影響します。乳歯のむし歯は進行が早いため、早めのケアと予防が必要です。フッ素塗布やシーラント(歯の溝を埋める処置)など、小児歯科での専門的な予防処置も有効です。
むし歯は早期発見・早期治療が重要です。痛みが出る前、あるいは出始めた段階で歯科を受診すれば、削る量も少なく、治療回数・費用も抑えられます。
治療が必要になる前の「予防」も重要となります。
むし歯ができてから歯科医院に行くのではなく、日頃からむし歯にならないように自身で行うケアや歯科医院での定期的なチェックが大切です。
クラフト歯科クリニック新井薬師前では、患者様一人ひとりのお口の状態に合わせた予防・治療プランをご提案しております。むし歯が気になる方、久しく歯医者に行っていない方は、ぜひご相談ください。
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